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新子 雅司 調教師(兵庫)

2024年05月01日

アジュディミツオー(船橋)以来19年ぶりの地方馬によるドバイ遠征となったイグナイター(兵庫)。西日本の地方競馬から初の海外遠征は、ドバイゴールデンシャヒーンGI・5着と、世界への道を切り開く結果となりました。自ら輸出検疫中やドバイでの調教にも跨り続けた新子雅司調教師は、海外遠征を振り返り、どう感じているのでしょうか。

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イグナイターのドバイ遠征、お疲れ様でした。ドバイゴールデンシャヒーンはJRA馬を含め日本馬が未だ勝ったことのないGI。そうした中、直線で一度は3番手に躍り出て、見せ場ある5着でした。

昨年勝ったJBCスプリントくらいのデキにはあると感じていました。スタートだけですね。1番枠で最初にゲートに入って、中で待つ時間が長くて馬が落ち着きすぎました。一歩目が遅れているわけじゃないですけど、隣のタズが速すぎて、半馬身くらいそこで相手が抜けて前に入ってきた分の差かなと思います。

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パドックから本馬場へ向かうイグナイター

レース2日前、チーム・イグナイターの会食の場でも「ゲートが隣のタズはどれだけ速いんだろうか」とみんなで気にしていました。

本当にそこだけでした。結果的にドンフランキーが逃げることができていたので、フェブラリーSの位置取りから考えると、ゲートを五分に出ていればタズのポジションは取れたのではないかなと思います。

序盤で後手に回りながらも、直線は3番手に躍り出る場面もあって、興奮しました。

あのまま直線は内ラチ沿いを走っていればもうちょっと上の着順もあったかも、と思いますけど、笹川(翼騎手)もちょっと焦ったのかな、と。他の馬にも迷惑をかけてしまいました。でも、あのレースで笹川自身のスキルは上がった気がします。

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直線、3番手に抜け出したイグナイター(右)

ほろ苦さや悔しさも残る結果とはなりましたが、力は見せてくれました。

全てが上手くいかないと勝てないレースだと思いました。色々あっての5着ですけど、世界の5番目。世界に通用する仕上げはできたかなと思いますし、もっと強い馬を連れてきて、どうしても勝ちたくなりました。その時のために英会話も習おうと思います。

レース後は後肢に外傷が見られました。怪我の具合はどうですか?

レース直後に診てもらい、思ったよりも傷は浅く、血はすぐに止まって塗り薬だけで済みました。いまは輸入検疫が終わり、宇治田原優駿ステーブルにいます。5月はじめに血液検査をして問題なければ、園田に入厩させてさきたま杯を目指す予定です。

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レース直前、ラチ沿いから見守るイグナイター関係者(新子調教師は右から2人目)

そこでは昨年のJRA最優秀ダートホース・レモンポップとマイルチャンピオンシップ南部杯以来の再戦となりそうですね。

一緒に走れることはもうないと思っていました。JpnIに格上げされたさきたま杯に来るということで、いまのダート界で一番強い馬だと思いますが、ビビッていても仕方ないですからね。

さて、今回は海外遠征にあたってJRA栗東トレーニングセンターを借りて、JRA馬と一緒に輸出検疫を受けました。新子調教師も毎日調教に跨っていましたが、栗東での日々はどうでしたか?

前回、栗東に来たのは厩舎開業前の研修で2011年12月の約1カ月。それ以来で、施設も分からないので、研修を受けた角居勝彦厩舎(解散)で当時一緒だった前川和也調教助手(現在は友道康夫厩舎でドバイターフに出走したドウデュースを担当)に事前に連絡をして「分からないので、ついて行かせてください」とお願いしました。それで、毎日ドウデュースの後をついて角馬場や坂路に行きました。

栗東トレセンには坂路や、脚元に負担がかかりにくいウッドチップコースやポリトラックコース、また起伏の激しい逍遥馬道など様々な施設があります。イグナイターに変化はありましたか?

逍遥馬道を歩くことは本当にいいトレーニングになると改めて感じました。イグナイターはデビューから2戦目までは栗東所属だったので、ここを歩くのも初めてではないでしょうけど、ドッシリ歩ける馬じゃないと海外遠征もできないだろうなと思いました。久しぶりの栗東で最初の頃はそわそわしていましたけど、時間と共に順応してくれました。慣れない環境で気疲れする人間とは対照的に、馬はケロッとしていました。だけど、運動時間は園田にいる時よりも長いですし、場所もいつもと違うので、ちょっとしんどそうにはしていました。輸出検疫は約1週間でしたけど、もう1週滞在することができれば、馬はもっと良くなるだろうなと感じました。

そういえば、新子調教師は自厩舎のほとんどの馬の調教に跨ります。栗東で騎乗した後、急いで帰れば園田の調教にも乗れるかも、と事前に話していましたが、実際にはどうでしたか?

車で約1時間の距離ですけど、検疫中の馬が馬場を使える時間が決まっていて、そこから園田に戻るともう調教が終わる時間なので、ハシゴはしませんでした。できるとしたら、調教時間が前倒しされる土日ですけど、土曜日は園田が全休日だったので結局戻らず、期間中の厩舎の攻め馬は所属騎手の笹田に託しました。

今回のドバイ遠征で新子調教師が得られたものは?

競馬場に隣接するメイダンホテルに滞在していたんですけど、部屋から調教を見ることができました。エイダン・オブライエン厩舎は集団でしっかり溜めながら乗っていて、理に適っていると感じました。馬の後ろで我慢することも覚えますし、しっかり負荷もかけられます。一方で、スピード重視で調教する厩舎もあって、馬によって変えることも大切だと思います。そういったのを直接見ることができて、もっと調教内容について考えて乗らないといけないなと思うようになりました。

最後に、オッズパーク会員のみなさんにメッセージをお願いします。

今回のドバイ遠征でイグナイター自身も厩舎も得たことがあり、これを糧にもう一段階上げていければと思います。秋はJBCスプリント連覇を目指すことになると思います。応援よろしくお願いします。

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※インタビュー・写真 / 大恵陽子

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